2015年8月25日火曜日

【タタール語】タタール語の現状

カザン空港の到着ロビー。三言語表記になっている。
タタール語はロシアのヴォルガ・ウラル地域を中心に世界中に散らばるタタール人によって主に話される言語である。ここでは筆者がカザン留学中に感じたことを中心に、タタールスタン共和国、特に首都カザンにおけるタタール語の現状について簡潔に述べたい。

タタール語はロシア語と並んでタタールスタン共和国の公用語に定められ、学校では「母語」という科目の中で選択すれば学べる(最近までは必修科目だった)ものの、ロシア語と同様のレベルで広く使用されているとは言い難い状況である。ロシア語はほぼすべての住民があらゆる場面で日常的に使用しているのに対し、タタール語はタタール人の間で限られた場面でときおり使われるといった感じだ。

カザンなどの大きな都市では特に若い世代でタタール語がほとんどできないタタール人が増えており、そのためタタール人同士であっても全員が理解するロシア語で話すことが少なくない。実際、カザンの通りを歩いていると、聞こえてくるのはロシア語が多く、タタール語が聞こえてくることは少ない。タタール語が堪能な人であっても、ロシア語の単語や表現を混ぜて話すことが多く、社会で支配的な言語であるロシア語の影響は非常に大きい。

こういった状況の中、官民問わずタタール語の保護・振興、地位向上を目的とした多くの試みがなされている。例えば、カザンの公共交通機関ではロシア語・タタール語・英語の三言語アナウンス・表記が徹底されており、国際タタール語オリンピック「私はタタール語を話します」運動が毎年行われている。

タタール語を取り巻く環境は厳しいが、こうした努力が実り、発展していくことを願うばかりである。我々も微力ながら、タタール語の保護・振興の力になれたらと考えている。


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